長期信頼性と保全

  工業用メカニカルシールを世界的にリードするシールメーカーのイーグルブルグマンは、液化天然ガス(LNG)の生産および出荷時の極低温の条件下で使用可能なドライガスシールを開発しました。天然ガスの液化が生じる温度-170℃でも長寿命を達成するように設計されており、LNG圧縮機の大手メーカによる厳しい認証試験に合格しています。

  世界中で採れる天然ガスは、市場へ出荷するために液化と再ガス化のために高コストな設備が必要です。それらLNG市場の規模が大きくなってくると共に、製造設備も大型化しています。イーグルブルグマンのLNG向け製品群には、LNGプラント用に開発された“巨大な”コンプレッサー用シールがあります。その呼び径390mmのシールは、市場でも最大サイズであり、-170℃での低温用途に採用されました。このシールは、過去に実績のある390mmのシールと同様の設計を用いており、中国の鉄鋼コジェネレーションプラント用で、今でも世界最大サイズ、かつ、250℃までの温度範囲で、2009年末から問題なく運転されています。独自のデザインは幅広い温度範囲に対応しており、お客様から高い信頼を得ています。大径シールに対応することは、圧縮機能力の増強に重要な役割を果たすとともに、過酷な使用条件下における圧縮機シールの信頼性を確かなものとします。LNG供給者は、イーグルブルグマンのシールを採用することにより、安全運転、環境対応、稼動時間の最大化を得ることができます。

  LNG製造用シールの開発は、10年前のLNG運搬船上でのボイルオフガスの再液化圧縮用シールの設計に遡ります。LNG運搬船のシール設置は、-170℃の極低温に加え、ギアードコンプレッサの過酷な運転をカバーする必要がありました。呼び径390mmという大径ドライガスシールの開発は、2005年に大手コンプレッサメーカの認証試験プログラムの一つとしてスタートしました。これらの大径LNGシールの設計と製作は簡単なものではなく、単純に実績シールをサイズアップするだけでは対応できないものでした。極限の温度条件下で信頼性の高いシール機能を確保するために、材料選定はもちろんのこと、しゅう動材料の歪も考慮した設計を進めました。

過酷な運転条件に耐える革新的な設計

  漏れゼロを確保するため、中間ラビリンス付きタンデムシールのシール構造を採用しました。二次シールには、幅広い温度範囲下でも高い安全性を発揮するPTFEシーリングエレメントを使用しています。

  しゅう動材にはDLCコーティングを施したシリコンカーバイドが使われています。また、ドライ窒素での運転における信頼性確保のために、シリコンカーバイド同士のしゅう動材組合せを採用しています。カーボン材料は、この運転条件下では著しく摩耗し、長期の運転に耐えません。また、慣性モーメントの高い大径の圧縮機は、停止するまでに時間がかかるため、シールはそれまで浮上していたしゅう動面が接触し始めるスローロール運転に耐える必要があります。イーグルブルグマンの豊富な設計知見を基に、それらLNG環境下における運転条件を模擬した試験を通じて完成しました。

  イーグルブルグマンは、LNG製造設備全般(圧縮機用の大径品や、製造設備やLNGタンカー用の小径品まで)をカバーするシールを提供しています。各国の輸出販売用の余剰ガスの競争力強化として、LNG供給者にとって、生産コストの上昇を抑えることが喫緊の課題となっております。このような状況の中、今後もより大きな径のシールが期待されております。

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